ご飯のおかずや非常食、さらには花見、キャンプのお供に――。輸入品に押され気味の国産缶詰だが、日本には素材にこだわったおいしい缶詰がまだ数多く残っている。とりわけ海の幸や広大な大地に恵まれた北海道は缶詰の種類も豊富。缶詰に詳しい専門家におすすめの道産缶詰を聞いた。 1位は船泊漁業協同組合(礼文町)の「宝うに」=写真手前右。缶のふたを開けると、海の香りがぷんとする。礼文島は日本最北端の島。北からのリマン海流、南からの対馬海流がぶつかり、海産物は豊か。6―8月にこの海域でとれるエゾバフンウニを蒸し、地元産の塩で味付けする。
「ねっとり甘い。生ウニ、焼きウニと一線を画す味わい」(タカイチカさん)。素材の味を楽しむなら、シンプルな食べ方がいい。「少量のバターを混ぜ、あつあつのご飯で食べる。生野菜につけてもおいしい」(間口一就さん)
2位は札幌グランドホテル(札幌市)の「スープ缶詰」=写真左。1971年に発売し、贈答用としても定評がある。東京や大阪、福岡の主な百貨店でも買える。添加物を使わず、指定工場でホテルの調理場と同じ工程で作る。「ホテルの味がそのままパックされている」(佐々木桂さん)
スイートコーンやカボチャは道内の契約農家が栽培。北部のサロベツ原野にある牧場からタンクローリーで運んだ牛乳を使用。「野菜の甘みを生かしつつ、スープの濃さもしっかりしている」(門上武司さん)
3位に入ったニチロの「あけぼのさけ」=写真右奥=は同社の定番商品。5―7月に道東沖でとれたカラフトマスを釧路工場で加工。魚類の缶詰の中でも古くから親しまれてきた。全国の主なスーパーで買える。「男性、特に北海道の出身者には人気がある」(大久保美代子さん)
魚介類以外では特産の小豆、アスパラガスを使った缶詰が上位に入った。
4位の「十勝まるごとつぶあん」は細川製餡(せいあん、帯広市)が物産展向けに商品化した。「嫌みのない甘さがポイント。砂糖も吟味し、食べ過ぎても胃にもたれにくい」(間口さん)。そのまま食べてもいいし、「みつまめやかき氷、バター、クリームチーズに混ぜてカナッペで食べるのもいい」(同)という。
8位だったクレードル興農(札幌市)の「アスパラガスホワイト」は独特の風味。「高い品質がそろっており、きっちり中身も詰まっている」(大久保さん)。冷蔵庫で冷やし、ポン酢やラー油などを混ぜてつけて食べてもおいしい。
このほか、5位の「鮭の中骨缶詰」(佐藤水産、札幌市)は塩だけで味付け。太い中骨が20本ほど入っている。高温で長時間加熱しているため、軽くかむだけで崩れていく。中落ち肉もたっぷり入っている。
6位はともに根室缶詰(根室市)の「さんま水煮」と「北寄貝入りカレー」。さんま水煮はあっさりした塩味。「背の身もジューシーで、内臓も苦みはほとんどない」(黒川ハヤトさん)。北寄貝入りカレーは貝の味がしっかり主張していて、ルーとのバランスもいい。温めてご飯にかけるのはもちろん、焼きたてパンに載せてもいいそうだ。
食べごろ「魚介なら製造1年」
野菜や果物、魚に旬があるように、缶詰にも食べごろの時期があるという。どうすればわかるのか。
その手掛かりとなるのが缶詰の底に印字された賞味期限を示す年月日だ。日本缶詰協会によると、製造業者が決める賞味期限は製造から3年に設定している商品が多い。賞味期限から逆算すれば製造日が推測できる。
缶詰は素材を水煮にしたり、油やタレ、シロップに漬けたりして加工。素材によって違いがあるが、製造直後のものよりも、時間が経過したものの方が味がなじんでおいしさが増すといわれている。
例えば、「ツナのオイル漬けなど魚介類の油漬け缶詰なら製造から1年。モモやパイナップルなどをシロップ漬けしたフルーツ缶詰なら半年」。数多くの缶詰を食べてきた経験から黒川さんは、食べごろの目安についてこう話している。
【調査方法】 北海道の海の幸、山の幸を使った缶詰のうち、全国から取り寄せられるものを専門家の意見や出荷量などを考慮して約40種類に絞り込んだ。そのうえで、専門家9人におすすめの銘柄を10個まで順位を付けて挙げてもらい、得点化して集計した。専門家は次の通り(敬称略、50音順)。
上山亜希子(伊勢丹食品統括部商品担当)▽大久保美代子(酒販店「枡久」店主)▽梶本裕二(居酒屋「博多めでた屋」店主)▽門上武司(月刊誌「あまから手帖」編集主幹)▽黒川ハヤト(ウェブサイト「缶詰ブログ」管理人)▽佐々木桂(詩人・エッセイスト)▽タカイチカ(「缶詰マニアックス」筆者)▽中川浩佑(缶詰バー「kanso」店長)▽間口一就(バー「銀座ロックフィッシュ」店主)(参照:日本経済新聞)
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