水がしたたる清涼感あふれる和菓子、水ようかん。手ごろな値段ながら、贈答にも向く。取り寄せができる銘柄を和菓子や甘味に詳しい専門家に聞いた。
1位はようかんの老舗、虎屋の「水羊羹」(写真中央手前)。素材にこだわった名品は「しっかりした食感とコクのある味わいが魅力」(井上文夫さん)など専門家から幅広く支持された。
抹茶、和三盆糖など4種類の味がある。抹茶は「白あんのおいしさを抹茶の強い個性がこわさず、うまく引き立てている」(太田さん)。和三盆糖は「甘みが強く小豆のコクと香りにこの店のこだわりを感じる」(安倍さん)。定番の小倉は小豆本来の味を生かしているし、黒砂糖は独特の風味がある。どれにも老舗の趣向が凝らしてある。
2位は桃林堂の「生みずようかん」(写真左上)。子どもの宝物入れのような紙製の小箱は「見た目も洗練されている」(原さん)。
器に開けると今にも崩れそうなほど軟らかく、「のどごしがよく口に含んだ瞬間、水が弾けたような食感」(山本さん)。これは熱処理を加えていないため。その代わり日持ちはわずか2日間。製造当日に発送しているが、着いたらすぐに食べる必要がある。
3位のたねや「のどごし一番本生水羊羹」(写真右上)は、甘さを控えめにして小豆の香りを引き立たせた一品。「食べた瞬間に口の中にあんの風味が広がるソフトな口当たり」(井上修さん)で、どことなく洋菓子を思わせる味付け。和菓子が好きではない人でも比較的、食べやすいだろう。
4位の鶴屋吉信「涼涼(りょうりょう)水ようかん」には2種類ある。1つが独自の工夫でゆずを入れ、甘さを控えめにしてあっさり仕上げた小倉。もう1つは宇治茶を使った挽茶(ひきちゃ)。門上さんは「ゆずと宇治茶の香りの生かし方がすばらしい」と評価する。
5位は鍵善良房の「甘露竹(かんろたけ)」。本物の竹筒にコクのある水ようかんを詰めてある。容器の底として利用している竹の節に穴を開けて傾けると、中身がニュルリと流れ出てくる。見た目も食べ方も楽しめる演出であり、「風情が味わえる」(君島さん)。
一部から高い評価を受けたのは、6位の仙太郎「丹波みくまり」。「京都丹波大納言をふんだんに使い、小豆好きにはたまらない逸品」(安倍さん)「やわらかさ、小豆の味わい、甘さのバランスが絶妙」(門上さん)という。
変わり種は10位の源吉兆庵「飲む水ようかん」。付属のストローで半液体状のようかんを飲む今年開発の商品で「あっさり滑らかなのどごし」(山本さん)。あんを水にさらす回数を増やす、寒天の配合量を減らすなどの工夫で仕上げた。
今回取り上げた店はすべて電話やファクス、インターネットによる注文に応じている。5位の鍵善良房、7位の湯沢屋、9位の白松がモナカ本舗は本店所在地の周辺にしか店を出していないが、そのほかは東京、名古屋、大阪などを中心に支店や百貨店にテナントを出店しているので店頭での購入も比較的容易だ。
製品によっては日持ちが短いものがある。贈答品などに使う場合は、相手がすぐ食べられるかの確認が必要だ。
冷やしすぎず、風味楽しむ
水ようかんは販売期間が短く、とても足の早いお菓子。だから太田さんは「暑い日の昼下がりに近くのお菓子屋さんで買い求め、そーっと持って帰るというシーン自体に値打ちがある」と語る。
山本さんはおいしく食べるコツを「冷やしすぎないこと。冷蔵庫から出して少しおいてから食べると、あんや寒天の風味の別の面が味わえることもある」とアドバイスする。
冬に食べる水ようかんもある。現時点では購入できないため、ランキングの対象外だったが、えがわ(福井市、電話0776-22-4952)の「水羊かん」(1枚525円)は「毎日のおやつに向く素朴さ」(原さん)「こたつに入って楽しめる」(山本さん)など個別に推す声があった。販売は例年11月1日から翌年3月31日。
【調査方法】 対象は6月下旬時点で電話やファクス、ネットを使って取り寄せ可能な水ようかん。和菓子や甘味に詳しい専門家11人におすすめの商品を10位まであげてもらい、順位を加味して集計。事前に一部の専門家の意見などを聞いて候補を約30品目に絞っている。選者は次の通り(敬称略、50音順)。
安倍立能(伊勢丹食品営業部和菓子バイヤー)▽井上修(寒天製造の伊奈食品工業代表取締役社長)▽井上文夫(近鉄百貨店食品第一部デイリー商品課長)▽太田美代(老舗や食の編集者)▽門上武司(月刊誌「あまから手帖」編集主幹)▽君島佐和子(月刊誌「料理通信」編集長)▽芝田山康(相撲部屋親方、第62代横綱大乃国)▽鳥越美希(料理研究家)▽中尾隆之(旅行作家)▽原亜樹子(情報サイト「オールアバウト」の和菓子ガイド)▽山本諭(菓子ジャーナリスト)(参照:日本経済新聞)
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