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おいしく炊ける IH炊飯器ランキング


 大抵の家には炊飯器がある。ごはんの味を左右する重要家電にもかかわらず、購入前に試食して良しあしを判断できる機会はほとんどない。そこで専門家7人による予備調査を経て、「プラス1」読者18人にメーカー7社のIH炊飯器で炊いたごはんを食べ比べてもらった。

 実売2万円台の売れ筋7機種と、価格が高い最上位7機種の2グループに分け、本体の使い勝手やデザインに対する読者の評価も加味してランキングした。

 売れ筋機の1位はタイガー魔法瓶「JKC―R100」(写真左)。「かんでいると粘りが出てくる」(30代男性)「つやと軟らかさ、粘りが他より抜きんでている」(30代男性)「癖がなく炊けている」(50代女性)など高い評価を得た。

 この製品は水加減を多くし、コメを水に浸す時間も通常の2倍にして炊くモードを持つ。これが高い評価に結びついたようだ。ただし、炊飯時間は70分前後と長めになる。今回の売れ筋機種平均(約55分)に比べて15分長い。

 内釜に2カ所の持ち手があって、本体から取り出しやすいことを評価する声も多かった。これは同社の最上位機を含め、評価対象となった14機種で唯一の工夫だ。

 2位は松下電器産業「SR―SD10」。「いつまでもかいでいたい良い香り」(20代女性)「弾力性のある食感」(30代男性)など味の評価は高く、使い勝手など本体の評価も総じて高かったが、いずれも1位のタイガーに及ばなかった。

 3位の日立アプライアンス「RZ―FD10J」も「コメの一粒一粒がきれいに見える」(20代女性)などごはんの評価は1位と同等で2位の松下を上回った。しかし、ふたの開閉操作や清掃のしやすさといった味以外の要素で上位2機種と差がついた。

 最上位機種の1位は松下「SR―SS10A」(写真右)。味は「香りが柔らかい」(30代女性)「ふっくらしているうえ、粘りけもあっておいしい」(20代女性)と多くの支持を集めた。この製品は高温スチームを活用しているほか、IHヒーターが裏ぶたにも付いており、全面から細かく温度を制御する。使い勝手も「内釜からのふきこぼれが付く部分が平らでふきやすい」(50代女性)と高い評価を得た。

 2位から4位はわずかな差だった。タイガー「JKF―A100」(2位)は「おこげのこうばしい香りがよかった」(20代女性)「しっとり感と甘みが好印象」(50代女性)と内釜に土鍋を使った特徴が好まれ、強く推す人が7製品中最多の5人いた。この結果、味の評価は1位と同等だったが、液晶表示の見やすさなどで松下に差をつけられた。

 東芝コンシューママーケティング「RC―10VS」(3位)の評価は「しっとり感がある」(50代女性)「かむほど甘みが出てくる」(40代女性)など。加減圧してコメに水を吸わせる仕組みが評価につながったようだ。これを実現するため、炊飯器では初めて真空ポンプを搭載している。

 三洋電機「ECJ―HZ10」(4位)は味の評価で1、2位に並んだが、本体の評価が伸びなかった。

 同じコメを使っても、炊飯器によって粘り、つやなど炊きあがりは大きく変わる。ただ、どの炊飯器がいいかは一概に言えない。個人の好みがあるからだ。

 保温したごはんについてもランキングしたところ、炊きたてとはかなり順位が入れ替わった。このことを見ても、購入時には様々な観点からできるだけ多くの情報を集めたほうがいいことがわかるはずだ。 

 今回実施した「何でもランキング」の読者商品テストでは、対象を最上位機種と実勢価格2万円台の売れ筋機種に絞った。家電量販店のヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、コジマの販売動向を参考に、2グループに決めた。14機種には、それぞれどのような特徴があるのか。(フロント面参照)

 電磁誘導により内釜を直接発熱させるIH(電磁誘導加熱)炊飯器は、温度調節が容易で高火力も得られるので人気。今や炊飯器市場の6割を占めるほどになった。

 IH炊飯器は、圧力炊飯型とそうでないものに大別できる。圧力派は三洋電機、象印マホービン、東芝コンシューママーケティング、日立アプライアンス、三菱電機(最上位機種は除く)の5社。一方、圧力をかけないのがタイガー魔法瓶と松下電器産業だ。

 【一定の圧力をかける象印】象印は最上位、売れ筋機種とも、炊き上がりまで一定の圧力をかけ続けるのが特徴だ。白米のふつう炊きなら炊き上がりまで1.15気圧をかけ続け、蒸らしの段階でもう一度、1.1気圧に加圧する。「粘りのあるモチモチした食感を出すには圧力が必要」(象印)。いずれも0.05気圧単位の細かさで釜内の圧力を管理できる。象印の最上位機は圧力レベルが7段階ある。

 対照的なのが三洋の「おどり炊き」。炊き上げの最中に1.2気圧の加圧と一気圧の減圧を数回繰り返す。「加圧して一気に減圧すると突沸が起こり、コメがかくはんされ、一粒一粒しっかり加熱され、うまみが増す」(三洋)。三洋の最上位機は炊飯量に合わせて自動的に減圧時間と回数を調整する。

 【吸水で工夫した三菱の売れ筋機種】コメをおいしく炊くには、浸しの際にしっかりコメ粒に吸水させることが必要だ。三菱の売れ筋機は、釜底の超音波リングが浸しのときに微細振動し、コメの薄皮を削り取り、吸水率を上げる。東芝の最上位機は浸し時に約0.6気圧まで減圧。減圧でコメ粒の中の空気が抜け、吸水を促進する仕組みだ。保温時も約0.6気圧まで下げて32時間保温を可能にしている。

 強火の必要なときに高火力でコメの芯まで加熱すると、ごはんはおいしくなる。その一つの方法が圧力だが、松下は追い炊き時にIHで高温加熱した水蒸気を利用。ふた部分に200ワットIHコイルを巻き、最上位機では、さらに300ワットIHで130度に加熱した水蒸気を上部からかける。

 日立の最上位機は圧力と高温スチーム併用式だ。沸騰直後のまだ水があるときに1.5気圧に上げ、112度になった段階で1気圧に減圧。蒸らしのときに140度の圧力水蒸気をかける。

 【タイガーなど釜の素材を工夫】5万円を超える機種ともなると、内釜に熱伝導率の高い銅や銀を張ったり、さらにダイヤモンドを埋め込んだりと各社、コストをかけている。

 なかでも、昔のかまど炊きの原点に返ろうと、IHに新しい素材釜を組み合わせたのが三菱の最上位機種とタイガーの最上位機種。いずれも圧力はかけていない。

 三菱は工業用コークスの塊を削ってつくった「本炭釜」。炭は発熱し熱伝導率が良く、内釜全体が熱源と化すので、コメ全体に均一に熱が伝わる。「炊き上がりの特徴はシャキシャキした食感。50代以上の昔ながらの白米の味にこだわる層を狙った」(三菱)

 タイガーの内釜は土鍋釜。IHに土鍋がなぜ反応するかといえば、釜の外側に銀の薄膜を張り付けてあるからだ。銀が発熱して、土鍋に蓄熱される。「土鍋だと吸水後、60-80度をゆっくり上昇していくので、でんぷんの分解が促進され、甘みが出やすくなる。百度で沸騰維持させるときにも土鍋の蓄熱効果が効く」(タイガー)

 【汚れふき取りやすい松下】松下の最上位機種は内釜の上の周辺部がステンレス製なので、吹きこぼれなどの汚れが落ちやすく黄ばまない。タイガーの売れ筋機種はふたごとスポッと外れるので丸洗いできる。

 一方、タイガーの最上位機種の土鍋釜は、おこげ好きにはたまらないが、保温時間が長くなると、ごはんがこびりつきやすい。内側にフッ素コーティングをしていないので、洗うときなどの取り扱いには注意が必要だ。


  <売れ筋機種>
JKC−R100(タイガー魔法瓶)  751
味重視モードのほか、最短桾ェの高速モードも。(1)26.0×35.5×20.3センチ(2)4.0キロ(3)あり(4)2万6000円前後
SR−SD10(松下電器産業)  729
高温スチームを炊飯時に使用。(1)26.1×35.7×22.5センチ(2)5.1キロ(3)あり(4)2万4000円前後
RZ−FD10J(日立アプライアンス)  721
蒸らし時と再加熱時にスチームを利用。(1)25.8×36.4×21.9センチ(2)5.6キロ(3)あり(4)2万8000円前後
NJ−RE10(三菱電機)  697
超音波を使用しコメにより多く水を吸わせる。(1)25.7×36.1×21.6センチ(2)5.3キロ(3)なし(4)2万5000円前後
ECJ−HG10(三洋電機)  689
加減圧を6回繰り返して炊飯中にかくはん。(1)26.4×34.2×22.4センチ(2)5.3キロ(3)なし(4)2万6000円前後
RC−10MY(東芝コンシューママーケティング)  680
加熱効率のため内釜にダイヤモンド粉を使用。(1)27.0×36.8×21.9センチ(2)6.2キロ(3)あり(4)2万5000円前後
NP−HT10(象印マホービン)  671
蒸らし時にも圧力をかけふっくら仕上げる。(1)25.0×36.0×20.0センチ(2)4.7キロ(3)なし(4)2万4000円前後
  <最上位機種>
SR−SS10A(松下電器産業)  752
高温スチームを炊飯時、保温時に使用。(1)26.5×32.1×21.8センチ(2)5.8キロ(3)あり(4)6万円前後
JKF−A100(タイガー魔法瓶)  739
内釜に土鍋と同等の素材を使用する。(1)26.7×37.3×22.3センチ(2)4.7キロ(3)なし(4)5万2000円前後
RC−10VS(東芝コンシューママーケティング)  736
保温時に減圧しュ時間までの長時間に対応。(1)27.0×37.4×23.4センチ(2)6.8キロ(3)あり(4)6万3000円前後
ECJ−HZ10(三洋電機)  732
甘み、粘り、硬さを各5段階で調節できる。(1)26.4×34.3×22.0センチ(2)5.5キロ(3)なし(4)4万5000円前後
NP−JA10(象印マホービン)  720
コメの種類や目的に応じて圧力を7段階制御。(1)25.0×36.0×20.0センチ(2)5.5キロ(3)なし(4)3万6000円前後
RZ−FV100J(日立アプライアンス)  671
コメの銘柄別に炊飯モードを変更可。(1)25.8×36.4×21.9センチ(2)5.8キロ(3)あり(4)6万6000円前後
NJ−WS10(三菱電機)  637
炭素を固めて削りだした内釜を使用。(1)26.6×30.7×21.8センチ(2)4.8キロ(3)なし(4)9万5000円前後
  (注)(1)大きさ(幅×奥行き×高さ)(2)重さ(3)保温米の再加熱機能(4)実勢価格(4月上旬に東京近郊の量販店で調査)

【調査方法】 対象は国内7社が製造するIH炊飯器(4人程度の家族での利用を想定して5.5合炊き)。各社の売れ筋機種と最上位機種を1台ずつ選んだ。次に専門家7人がごはんを食べ比べる予備調査を実施。その結果を参考にして、出身地や世代が異なる「プラス1」読者18人による本調査を3月下旬に実施した。  読者は炊きたてごはんの「つや」「香り」「軟らかさ」「粘り」「甘み」を考慮しながら「総合的な味」を5段階で評価。これを軸に、手入れのしやすさやボタンの操作性など「使い勝手」と「デザイン」の評価も加味して集計した。満点は1000点。18時間程度保温したごはんについても試食・採点してもらった。コメは千葉産コシヒカリ。試食会場は東京・築地のちよだ鮨研修スタジオ。炊き方に複数のモードがある製品では、炊飯時間の短さよりも味を重視したモードを選択した。(参照:日本経済新聞)


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