もうすぐ新そばがおいしい季節。健康にもいいとされる日本の伝統食を自宅で楽しみたいという人は多く、最近は生タイプでも取り寄せできる商品が増えてきた。つゆとセットで全国に通信販売している25銘柄を専門家に試食、評価してもらった。
1位になったのは、長野県上田市に店を構える「おお西」の「発芽そば」。店主の大西利光さんが考案し、2004年に売り出した。そばの実を少し水につけ、一晩で1ミリほど発芽させてから粉を挽(ひ)くという。発芽期に発生するという酵素がポイントだそうで、もちもちとした食感が独特だ。「そばの甘みを感じた」(上島さん)、「香りにも味にも強さがあっておいしい」(永村さん)など、深みのある味わいが評価された。
発芽そばは見ばえ、つゆ、香りでも高得点を集めた。「香りがしっかりあるし、つゆも甘みが強すぎないのがいい」と藤田さん。「手打ちの個性がよく出ている」(町田さん)との声も。店では十割そばだが、家庭でゆでるとめんが切れやすいため、通販用はつなぎに小麦を1割使う。
2位は三重県四日市市の「老梅庵」。そばのイメージの薄い三重にそばを根付かせるため、そばの実も地元産にこだわる。殻ごと製粉したそばはやや黒っぽく、打ち立ての十割そばを急速冷凍する。「色が濃く、そば殻のごわつきも田舎そば特有で心地いい」と永村さん。土田さんは「挽きぐるみの風味の強さがよく出ている」と評した。
3位の「山笑」(長野市)も、通販では珍しい十割そば。そばの名産地である信州の店らしく、そばの実は地元の戸隠産と八ケ岳産を使用、細かく挽いて作った生そばを真空パックにして出荷する。つるっとした食感がさわやかで「上品でバランスがいい」と花房さん。「そばらしい香りがある」(藤田さん)という本格派の風味が評価された。
4位の「いづるや」(栃木県栃木市)は、石灰岩層を流れる弱アルカリ性の井戸水を使用。8割そばで、つなぎに小麦粉と卵を使う。「田舎風のそばらしくかみ心地、のどごしがいい」と鎌さん。
5位は月山のふもとでめんを製造する「玉谷製麺所」(山形県西川町)。山形に多い黒い太切りのそばで、強い歯応えに特徴がある。「つゆに酸味も甘みもあり、バランスがよい」(鎌さん)など、甘みのあるつゆを評価する声も寄せられた。
上位に入った店のなかには、人手による手打ちのため1日50セットが限界という店もある。生そばは打って2日もたつと風味は落ちるので、店の繁閑や、自身の食べる日に合わせて注文したい。冷凍の場合は、食べる分だけをじっくり自然解凍させてから調理するといい。
ゆで方「お湯たっぷり、長め」
おいしく食べるためには、ゆで方も重要だ。ゆで時間は銘柄によって様々。今回のテストは公平を期すため、築地そばアカデミー(東京・築地)を会場に、各商品の説明書通りの時間、方法でスタッフにゆでてもらった。
家庭でゆでるポイントのひとつが、お湯の量。同アカデミー学長の井上明さんは「お湯の量は1人前で5リットルが理想で、多いほどいい。めんがくっついてしまわないように気を付けてほしい」と話す。
沸騰した状態でゆでたいので差し水も控えたい。鍋からお湯があふれそうになったら、火加減で調整する。時間が足りないと芯が残ってしまい、後悔することになる。「迷ったら長めにゆでるのが無難」と井上さんはアドバイスする。
(注)(1)価格(つゆ付き。送料別、※のみ送料込み)(2)製造日からの日持ち(3)問い合わせ先
【調査方法】 楽天やヤフーなどが運営するネット通販の売れ筋を参考に、「蕎麦Web」の片山虎之介編集長の推薦をふまえ、つゆとセット販売のそば25品目を選定。専門家14人に試食してもらい、香り、味、つゆなどの項目で採点、集計した。試食した専門家は以下の通り(敬称略、50音順)。
阿部文枝(フードライター)▽井上明(オールアバウト「そば」ガイド)▽岩崎信也(そば研究家)▽上島寿子(フードライター)▽鎌富志治(そばコンサルタント)▽上条雄司(紀ノ国屋商品部)▽小山剛(ザ・ガーデン商品部)▽関根二三夫(川越蕎麦の会講師)▽土田千春(そば愛好家)▽永村聡子(同)▽花房美香(おとりよせネットの達人)▽藤田千秋(蕎麦流石店主)▽ほしひかる(江戸ソバリエ認定委員)▽町田成一(「dancyu」編集長)(参照:日本経済新聞)
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