1位は「おこわすき焼き弁当」(写真手前)。おこわが得意の寿徳庵による松阪牛のすき焼き弁当だ。野菜なども肉のだしで1つ1つ味付けし、もち米は国産こがねもちを100%使用。「小ぶりだが2段重ねなので、機内のテーブルでは少々食べにくいが、松阪牛のすき焼きは冷えていてもおいしい。おこわを合わせたのがミソ」(小林さん)「詰め方もていねいで視覚的にもうまさを感じさせる」(福岡さん)という。
2位には約340年の歴史を持つ沖縄の料亭「松乃下」の「8月15夜の茶屋鮨」(写真左上)が入った。1日30食那覇空港限定の押しずし。ネタはゼリー状に固めた沖縄の食材というユニークさで、マグロ、エビ、島ダコ、ゴーヤ、海藻が宝石のように浮かび上がる。すし飯の間に漬けマグロを2層にはさんでいる。
3位は福井の「日本料理一乃松」の名物料理「越前若狭焼鯖寿し」(写真右上)。「老舗が作るだけのことはあり、身の厚さ、味ともに文句のつけようがない」(入谷さん)
空弁ブームの火付け役となった「みち子がお届けする若狭の浜焼き鯖寿司」は第4位だった。矢部みち子さん(海の恵み社長)の発案で生まれたこの弁当はなお好評だ。片山さんは「若狭伝統の浜焼きサバは焼いた皮もほろ苦くて香ばしい」と評価。ただ「コンビニでも販売され希少価値がなくなったのは残念」(柿崎さん)と惜しむ声も。
5位には東京・新橋に本店のある焼き鳥専門店「鶏繁」の「二色わがまま弁当」。南部地鶏のもも肉を塩で胸肉をたれで焼き、粗びきそぼろをたっぷりのせ3種類の鶏の味が楽しめる。柳家さんは「駅弁にはなく空弁オリジナルで味もいい。弁当としてのうまさがある」と絶賛する。
わずかな差で6位には、博多の有名料亭「日本料理てら岡」の人気商品「博多鯖寿司」が入った。対馬沖で捕れる600グラム以上の旬(とき)サバを使用。すしに巻く真昆布もじっくり炊き上げ、自然の色に仕上げている。「昆布は初めて見るような真緑色。新鮮なサバに料亭の味付けで価格に10分見合う」(柿崎さん)
7位の「鮎屋三代空弁当」は、JR九州主催の九州駅弁ランキングで3年連続1位になった駅弁の空弁版。弁当には難しい食材のアユを取り入れた。「ご飯に丸ごと1匹のったアユの甘露煮が柔らかくて絶品」(上杉さん)「球磨川で取れた天然アユのだし汁で炊き込んだご飯がおいしい」(片山さん)。小林さんは土産用としてもすすめる。
地方色は出したいが、利用客の少ない地方空港では採算が合わないというジレンマもある。そこで、催事販売で量販することを前提に、卸会社が地元調製業者と商品開発を進めるケースも珍しくない。
駅弁と違って歴史の浅い空弁は、目新しいものが出やすい。ユニークな空弁は続々と登場しそうだ。
機内食と土産用に二極化 空弁は機内で手軽に食べられるように航空会社系商社や日本空港ビルデングなどが積極的に商品化を進めてきた。機内で食べることから商品に求められるのは、においが広がらないことと、狭いテーブルに載せやすいコンパクトさである。
もっとも最近は「機内消費用と持ち帰り・土産用に二極化する傾向がある」と福岡さんは指摘する。500―600円のものから、2000円を超える豪華弁当まで、価格帯も幅広い。
「機内で食べるには手が汚れて不向きだったり、密封パックで保存が利くようにしてあったりと、そもそもが土産向きに作られた商品もある」(福岡さん)と指摘する。
【調査方法】 空弁卸各社が厳選した51品を対象に、空弁にくわしい専門家10人に評価してもらった。それぞれを5段階評価したうえで、上位10位を選んでもらい得点化したものを加味して集計。専門家は次の通り(敬称略、50音順)。 伊庭澄子(情報サイト「オールアバウト」お弁当ガイド)▽入谷昌利(マイカル食品統括部デイリーグループ商品部MD)▽上杉剛嗣(ウェブサイト「駅弁の小窓」運営)▽大空真(ウェブサイト「飛行機の達人」運営)▽柿崎満(ジャパンフーズシステム商品部部長)▽栫(かこい)信一(京王百貨店食品部バイヤー)▽片山政広(阪神百貨店食品第2グループ生鮮・食品催事チームマネージャー)▽小林しのぶ(駅弁・空弁ライター)▽福岡健一(ウェブサイト「空弁資料館」運営)▽柳家三之助(落語家)
(参照:日本経済新聞)
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